GP97.9の表紙およびP128、GP98.4／P90に、第119狙撃戦車連隊所属とされるT-34/85・43年型の一連の写真が掲載されている。この３枚の写真で前面に写っているのは、それぞれ「01」号車、「02」号車、および番号不明のもう一両だが、「01」号車と、後２者とでは、砲塔の鋳造ラインが明らかに異なり、後２者では、鋳造ラインが側面ピストルポート下あたりから緩やかにほぼ直線で切り上がっている。
もしこの差異が工場の違いによるものであれば、前者の鋳造ラインは44年型でも見られるので、前者がクラスナエ・ソルモヴォ工場製、後者がキーロフスキー工場製ということになる。
しかし、車体自体の特徴は基本的に同一（車体機銃下の跳弾リブ、前面装甲板左右の手すり、増加燃料タンク取付方法など）で、解説の高田裕久氏も、GP97.9／P128のキャプションで、「車体各部から推測して、おそらくこれはクラスナエ・ソルモヴォ工場製」と分析している。
ちなみに、車体前端に関しては、同一の砲塔を載せていると思われるGP97.9／P128、GP98.4／P90の２両のうち、前者は丸型、後者は角型になっている。
なお、車体後部ディテールは、同工場製/76の42〜43年型と同じであると仮定すると、大型のヒンジ２個所である可能性がある（/76、42〜43年型の項を参照のこと）。